光弾性法
Photoelasticity


ガラスやプラスチックなどの透明な物体に外力を加えると光学的異方性を示す.そのため,これらの物体内部では複屈折が生じるが,これを光弾性効果といい,光弾性効果を利用して応力を測定する方法を光弾性法という[1-3].光弾性法では,測定対象の応力やひずみを直接測定するのではなく,応力を知ろうとする構造物と相似形のモデルをプラスチックなどの透明な材料で作製し,その応力分布状態を調べる.等方・等質な材料が測定対象である場合には,物体内部の応力状態は材料特性には関係なく物体形状と境界条件に支配されるため,プラスチックなどで作製したモデルを用いても現実の材料における応力を決定することができる.光弾性法で得られる応力の情報は主応力差と主応力の方向で,応力成分を直接測定する事はできない.しかしながら,自由境界では接線方向の応力のみ存在するために,光弾性法の結果から直接境界上の応力が求められる. 光弾性法には,二次元モデルの応力を求める透過光弾性法,三次元モデル内の応力を求める凍結光弾性法,散乱光弾性法,光弾性トモグラフィ法,また構造物の表面に光弾性皮膜を接着してひずみを測定する光弾性皮膜法などがある.さらに,不透明な石英素子などの応力を測定する赤外線光弾性法等も提案されている.

二次元光弾性法

図1は円偏光を用いる場合および直線偏光(平面偏光ともいう)を用いる場合の光学系の配置例である。共に暗視野すなわち試験片が無い場合には光は検光子を透過しない配置である。図1(a)の光学系を用いた場合,単色光源から出た光は偏光子および1/4波長板を透過して円偏光となり試験片に入射する。試験片に入射した光は複屈折により位相差を生じて楕円偏光となる。試験片を透過した光は再び1/4波長板を透過し,検光子を通して観察される。試験片を透過した光が円偏光の場合,すなわち位相差が2πの倍数の場合には,1/4波長板を透過した光は直線偏光となり検光子を透過しない。そのため,試験片を透過した光の楕円率すなわち試験片に生じた位相差に依存した明暗模様が試験片上に観察される。これが等色線である。複屈折により生ずる位相差はブリュースタの法則により主応力差に比例する。すなわち,等色線を調べることで試験片に生ずる主応力差を知ることができる.一方,図1(b)の光学系を用いた場合には,偏光子を透過した直線偏光が試験片に入射する.このとき,偏光子の主軸方向と主方向が一致している場合には直線偏光は変化することなく試験片を透過する.この光は検光子を透過しないため,検光子を通して観察すると試験片上には暗線が現れる.これが等傾線である.それ以外の場合には複屈折により位相差を生じ,試験片を透過した光は楕円偏光となる.そのため,試験片上には等色線と等傾線の両者が現れる.偏光子の主軸と主方向が一致している場所に等傾線が現れるため,偏光子の主軸方向を変化させて等傾線の分布状態を調べることで,主方向を知ることができる. 図2は切欠き周辺の等色線しま模様の例である.切欠き周辺部において等色線しま模様が密になっているのは,その部分において応力が急激に変化しており応力集中が発生していることを示している.

図1

図2

図3

位相シフト光弾性法

等色線および等傾線を定量的に評価する方法として,位相シフト法が多く用いられる.位相シフト法では,波長板や検光子の角度を変化させて得られる複数のしま模様の画像から,複屈折位相差と主軸方向を決定する.そのアルゴリズムは多数存在する[4,5].図4は7枚の位相シフトアルゴリズム[6]を用いた場合の位相シフト画像である.波長板や検光子を回転させることでしま模様の明るさが変化する.これらの画像から図5に示すように複屈折位相差と主軸方向を計算する.複屈折位相差は-πからπ,主軸方向は-π/4からπ/4の範囲で結果が得られる.そのため,複屈折位相差は位相値の符号が反転する箇所が存在する.その符号を修正し,位相接続を行うことで位相の絶対値を得ることができる.

図4

図5

参考文献

[1] 菅野 昭, 高橋 賞, 吉野利男, 応力ひずみ解析, 朝倉書店 (1986).

[2] Burger, C.P.: Photoelasticity, Handbook on Experimental Mechanics, 2nd Ed., A.S. Kobayashi, Ed., VCH, 165–266 (1993).

[3] Theocaris, P.S. and Gdoutus, E.E.: Matrix Theory of Photoelasticity, Springer (1979).

[4] Ramesh, K.: Digital Photoelasticity, Springer (2000).

[5] Solaguren-Beascoa Fernández, M.: Data Acquisition Techniques in Photoelasticity, Experimental Techniques, 35-6, 71-79 (2011).

[6] Yoneyama, S. and Kikuta, H.: Phase-stepping Photoelasticity by Use of Retarders with Arbitrary Retardation, Experimental Mechanics, 46(3), 289–296 (2006).