背景 |
地面効果(グラウンド・エフェクト)とは,翼形状を持つ物体が地面付近を移動する際,翼と地面の間の空気流の変化に影響を受ける現象である.航空機が地表や水面近くを飛行する場合,翼が受ける揚力(上向きの力)が大きくなる現象のことをいう.
通常は主翼の翼幅の半分よりも高度が低くなると地面効果が現れ,翼幅の1/4の高度で誘導抗力が20~30%減少し,1/10の高度で約50%減少する.揚抗比 (L/D) が増加するため,離陸時には推力の不足を補うことができ,地面近くを水平飛行し続ければ,燃料消費を節約して航続距離を伸ばすことができる.
人力飛行機は誘導抗力の少ないアスペクト比の大きい翼を持つが,高度を低く保って飛行すれば,さらに抗力を減らして体力を有効利用することができる.
一方,着陸する際には空気のクッションに乗って滑っていくような感覚となり,着陸しにくくなるという現象も起きる.艦載機が航空母艦に着艦する際には,飛行甲板の地面効果を受けないよう叩きつけるように降りる.翼が地面に近い低翼機やファウラーフラップ付きの翼は地面効果の影響が著しく,着陸姿勢(フレア)の上げ舵に要する操縦力が大きくなり,昇降舵の面積を増さなければならないこともある.また全翼機・無尾翼機においては地面効果が特に大きく着陸時に長い滑走路が必要になる場合がある.
回転翼機のローターの揚力発生にも,地面効果が影響する.ヘリコプターの場合,メインローター直径の約半分以下の高度を地面効果内 (In Ground Effect, IGE) ,それ以上を地面効果外 (Out Ground Effect, OGE) と呼ぶ.回転翼機や垂直/短距離離着陸機(V/STOL機)がホバリングする時,ダウンウォッシュが地面とローターの間で圧縮され,より少ない推力で浮上できる.しかし,地面と胴体下面の間で二次的な渦が発生し,一点上空でのホバリングを不安定にすることがある.
そのため,回転翼機では低い高度で活動することも多く,地面効果が原因とされる航空機事故も発生している.本研究では地面効果の影響の評価を行う.

Figure 1. 回転翼機の翼.

Figure 2. 着陸時のグライダー.
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