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課題斜円柱まわりの非定常流れ
背景  
送電線,海底ケーブル,及び海上プラントなどにおいて,風や海流によるケーブルやチューブはフラッタやギャロッピングの問題が起こる.これらのケーブル周りの流れは,ほとんどの場合においてケーブルに対し斜めであり,複数本のケーブルやチューブの下流に生じる渦構造は非常に複雑となり,渦による悪い振動を与えたら,断裂する場合もある.


Figure 1. 送電線.


Figure 2. 海上プラント.

目的  流れ場中に置かれた構造物の振動特性について知見を得ることは,非常に有用である.
方法  本実験ではNPL式ブローダウン型風洞を使用した.測定部は600×600mmの正方断面で,全長は約3000mmである.送風機はニップ工業株式会社制のものである.送風機の下流に固定用具を設置し,円柱管を設置した.円柱管は,直径D=1,5,10,30mmの4種類を使用した.レイノルズ数が200,400,800,1000,2000,3000,4000,5000,6000,7000,8000,10000になるために,直径D=1,5,10mmの円柱を角度θの0°から45°まで15°ごとに変えて,主流流速を合わせた.但しD30mmのとき,レイノルズ数を20000にして,0°と45°にするように主流流速を合わせた.円柱を使用し,主流流速の計算式はU=(Re×ν)/(cosθ×D)となった.各条件における主流流速を表1に示した.図1に示すように,円柱管下流の流速の変動を測定するため,I型熱線プローブおよび定温型流速計を用いて,電圧波形を取得した.また,熱線プローブと同様の位置にハイスピードカメラを設置し,円柱スパン中央の振動の様子を撮影した.カメラのフレームレートを2000fpsにした.プローブは,円柱管の軸と同じ高さのスパン中央とし,円柱管の横断面円心より3D下流側に設置した.サンプル数を40960,サンプル周波数を4096 Hzとして0.6415秒間計測した.熱線流速計で得られた電圧波形を高速フーリエ変換(FFT)し,チューブ下流における流速の変動周波数を求めた.撮影した画像を二値化して,可視化を行った.


Figure 5. 実験装置.

 本研究では円柱周りの流れを対象に,3次元非定常数値計算を行った.図2のように,流体解析用ソフトウェアPointwise V17.1R4を使用して,計算格子を作った.格子点数は234.165万であった.そして,計算格子を流体解析用ソフトウェアFluent2020 R2で開き,直径Dが30mmになるようにスケールした.入口境界に主流流速を与え,方向を円柱に対して0°と45°になるように計算を行った.出口境界とスパン方向の上下は大気圧開放とした.スパン方向の左右の面を周期境界に設定した.乱流モデルはk-ωモデルを用いた.時間刻みは1×〖10〗^(-4)sとし,1秒間計算した.


Figure 6. 数値計算.

 
結果 ◎円柱周りの流れの可視化
 図3はD30mm,角度0°の円柱により可視化をした結果である.図から図は,渦が放出し始めるから放出し終わるまでに,1/4周期ごとに円柱周りの流れの様子を示す. D30mm,角度0の円柱は周期0.017sで渦を放出する.また図4は円柱下流の渦が放出されるときの画像である.円柱の部分を赤い円弧で表示されている.放出される渦は円柱との距離は84.3mmであり,直径D30mmの2.8倍である.
 

Figure 8. 円柱下流の可視化.

◎数値計算の結果
 図10は数値計算によるD30mm,角度0°の時に円柱周りの流れの様子である. 円柱の部分を赤い円弧で表示されている. 放出される渦は円柱との距離は86.8mmであり,直径D30mmの2.9倍である.実験でやった結果とほとんど一致していることが分かった.


Figure 9. 数値計算の結果.