日本材料学会コラム〜町〜

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町(1):安芸
年金の申請のために、戸籍証明書が必要になりました。住民票などは、マイナンバーカードをコンビニに持って行けば即日交付されるので、同じようなものかと思ったら大間違いで、私の戸籍のある 高知県安芸市は受付もしてもらえません。定額小為替を買って、返信用の封筒とともに、郵送で申請を行ったところ、一週間後に戸籍が届きました。実はコンビニ交付も同じぐらい時間がかかるようです。安芸市は茄子の産地で、戸籍謄本の用紙には薄紫のコピー防止模様と茄子の絵が印刷されています。不幸なことに、私は茄子が嫌いです。幼稚園の給食で、全体に紫色の煮茄子がアルマイトの給食皿に載っているのを見て、ゾッとして以来の食べず嫌いです。

町(2):高知
中学高校時代は、 高知市で三食風呂洗濯付きの寮生活と下宿生活を経験しました。高知と言えば、 桂浜の坂本龍馬ですが、2023年は牧野富太郎の「らんまん」が話題になりました。高知市の東部に五台山という山があり、そこには 牧野植物園があります。よく遠足の目的地になりました。開園は1958年で、私の同期です。ちなみに、 東京タワー、 マイケル ジャクソン、マドンナも同期です。「らんまん」では、広末涼子が完璧な土佐弁を披露してくれましたが、私も土佐弁ネイティブです。高校生の時、初めて羽田空港に着いて到着ロビーを出ると、標準語の世界となっていて、テレビの中に入ってしまったような動揺がありました。

町(3):東京
学生として1977年から6年半と、青学に就職した1997年から26年余りを東京で暮らしています。半生を暮らしていることになります。東京に住み始めて驚いたことは、 大気汚染です。1977年当時は、自動車の排ガス公害が顕著で、環状7号線沿いのアパートで暮らしていた頃は、鼻をかむと真っ黒でした。都内から富士山が見えることも希でした。1997年に戻ってきた東京の空気は少し改善されていましたが、即刻花粉症になりました。石原慎太郎元都知事が、強引なディーゼル排ガス規制を打ち出すと効果は抜群で、 自宅から富士山が見える日もかなり増えました。今後も東京に住み続けるつもりです。

町(4):岐阜
岐阜市で暮らしているときに、煙草を止めて太り始めました。少しでも食い止めようと、サイクリングを復活させました。アルミフレームのロードバイクを買って、岐阜大学の周りの堤防道路を毎日20km走り、休日にはサイクリング部時代から乗っているランドナーで、周りの山道を走り回りました。薄墨桜で有名な 根尾コースやさざれ石公園の近くを通る 関ヶ原コースがお気に入りでした。岐阜は自然が豊かで本当に住みやすいところでした。ただし、岐阜弁には馴染めませんでした。自転車のことを「ケッタ」と呼ぶのです。一部の人だけではなく、みんながロードもランドナーも「ケッタ」と呼ぶのです。「チャリンコ」は通じません。岐阜に行ったときには、注意が必要です。

町(5):プロビデンス
10ヶ月の留学生活は、 アメリカ合衆国ロードアイランド州プロビデンスで過ごしました。面積が最小の州で知名度もありませんが、日本に向けて黒船が出発した場所です。 Black Ship Festivalという催し物があり、当時は ジョン万次郎の出身地である高知県土佐清水市が共催し、毎年土佐清水の人が参加していました。留学先で土佐弁が聞けるとは思いもよらぬことでした。現在はプロビデンスに行く用事はなくなりましたが、Google Mapを使って行ってみると、 住んでいたアパートはそのままで、懐かしい散歩道も変わりありません。ジョン万次郎の時代とは随分変わったものです。

町(6):京都
京都に住んだことはありませんが、材料学会活動で随分通いました。その度に、京都中を歩き回りました。京都には不思議な施設があります。南禅寺の水路閣、インクライン、発電所などです。これらは、 琵琶湖疎水の関連施設で極めて興味深いものです。琵琶湖の水をトンネルで山科に運び、新幹線からも見える山の麓に用水路を通して京都に水を運んでいます。京都には鴨川があり、水源に困ることはないと思いますが、水運と水力が目的だったようです。青学出身の 柴田よしき「炎都」では、突然京都に水がなくなり、大変なことになります。ヒコクーというギャオスのような妖怪が出てきて恐怖ですが、逞しい京都の女子が成敗します。