二輪車の乗車定員

青山学院大学 理工学部 リレーコラム「二輪車の乗車定員」 2010年7月13日掲載(削除済)


約30年前,私は中型(排気量400cc以下)自動二輪車の免許を取り,250ccのホンダ・ホークというバイクを乗り回していました.一番の長旅は,東京から磐梯山と蔵王に行った後,日本海に出て富山,京都,神戸,淡路島を経て実家の高知県安芸市までの単独ツーリングです.学部時代はサイクリング部に所属して,自転車旅行に明け暮れていました.大学院になると時間が限られてくるので,効率よく行き残したところに行くことが目的でしたが,女性とのタンデム(2人乗り)の下心は否定できません.結局,初めてタンデム走行した女性と今でも一緒に暮らしています.このように,自動二輪車の乗車定員は2名です.ただし,50ccのバイクは原動機付自転車なので,乗車定員は1人です.

自転車の乗車定員は1名なのですが,例外があります.6歳以下の子供との2人乗りは地方自治体の条例で認められていました.東京都では,1人を子供座席に乗せて,もう一人を背負えば3人乗りが可能でした.日本の生活には自転車の利便性はなくてはならないものです.条例違反でしたが,多くのお母さんたちは,子供座席を自転車の前後に付けて3人乗りをしていました.当然危険性は高まりますので,2007年に3人乗りの取締強化を警察庁が発表すると,お母さんたちの怒りが爆発しました.異例のことですが,お母さんたちの意見を警察庁がすんなり聞き入れ,2008年に幼児2人同乗用自転車の基準を決める委員会が開かれることになり,私はこの委員会の座長を命じられました.

自転車に3人乗りをすると,重量増加によって自転車のフレーム強度が足りなくなり,振動が出たり疲労で壊れたりすることがあります.そもそも日本の自転車の設計では,65kgの乗員体重を想定しています.大相撲の力士が乗ることは想定外です(皆さんは大丈夫ですか?私はアウトです).もちろん,余裕を持った設計が行われていますが,乗員体重を増やした設計の幼児2人同乗用自転車は2009年7月から発売されています.大人用のタンデム自転車は,海外で許されているところもありますが,日本ではダメです.中学生や高校生の時に女性を荷台に乗せてワクワクしたあなた(私も…)!大人の自転車2人乗りは,法規的にも自転車の強度的にも問題です.マナーと規則を守って楽しく正しく二輪車を楽しみましょう.