材料強度学研究室
研究室紹介資料2(学内限定)
教 授 小川 武史
助 教 蓮沼 将太
(1)研究室の説明
材料強度の研究は全ての機械工学製品に必須である.極めて高い安全性と経済性が求められる
現代社会では,新材料を開発し安全寿命を正確に評価することが,新技術開発のブレークスルー
となっている.また,安全・安心な社会への要求から,材料強度学の重要性はますます高まって
いる.東日本大震災によって状況は大きく変わったが,地球温暖化対策の一つとして原子力は重
要な選択肢である.自動車産業では燃料電池車の開発や軽量化のために,新たな強度評価技術の
開発が急務となっている.ボーイング787の就航など,航空宇宙産業では高分子系複合材料の使
用が拡大している.これらの産業界が材料強度学研究室と共同研究を行っている主要分野である
が,材料強度学を必要としない機器開発はあり得ないので,どんな分野に進路希望を持っている
学生にも,本研究室での卒業研究は,有益な経験になると考えている.
材料強度学研究室の研究内容は,いずれも
「材料の破壊」に関連している.我々の身の
回りで生じる破壊は,いつも制御されない状
態で発生する.制御されない破壊は,社会問
題となり,決して望ましいものではない.研
究の目的は,如何にして破壊を予測し,制御
するかにある.そのためには,制御された破壊
を実現する装置,制御ソフト,観察手法を開
発し,破壊挙動を解き明かすことが必要である.研
究対象は,原子力や化学プラントなどの疲
労・応力腐食割れに関連したテーマに加え,自
動車や電子部品などの接合強度,水素容器の
問題および力学特性評価にも取組んでいる.
個々のテーマは,電力会社やメーカーの協力
を得て進められており,卒業研究の成果は産業界からも大きな期待を得ている.
研究室のルールについては臨機応変に決めているが,目的は「研究環境の向上」である.ルー
ルが厳しすぎると息が詰まるが,甘すぎると楽な方に流される.ルールは研究室に所属した全員
の行動によって作られると考えていただきたい.イラストのように息抜きもして,楽しくかつ真
剣に研究に取り組む雰囲気を作ることを目指している.各自に要求されるのは研究成果であり,
自己責任を重視する.研究指導体制としては,小川研内だけでなく長研および米山研との合同発
表会を行い,長先生および米山先生のご指導も受けられるようにしている.来年度の研究スタッ
フ(大学院生)としては,博士前期課程M2:7+1名(JAXA)名,M1:6名+1名(JAXA)
が予定されている.多くの大学院生とともに研究活動を送ることになるが,すべての卒論生は独
立した研究テーマに取り組む.すなわち,学部と大学院の全員について,1テーマ/1人である.
(2)研究テーマ
2016年度に修士論文および卒業研究として実施されている研究分野は以下のとおりである.
2017年度には,これらの進捗状況を踏まえて各自に1テーマが与えられる.また,材料強度に関
係する内容で,研究課題の希望があれば,可能な限り意向に沿うよう努力する.
@
原子力機器を製造している材料の破壊靱性,疲労強度,き裂進展特性(日立GEの委託研究)
A
タービン用耐熱合金の疲労強度およびき裂進展特性の評価(IHIとの共同研究)
B
超音波疲労試験機を用いた超高サイクル疲労強度およびき裂進展評価(IHIとの共同研究)
C
接合部の局所力学特性および疲労強度特性の評価(自動車技術会での共同研究)
D
水素容器材料アルミニウム合金のき裂進展特性評価法の検討(本田技術研究所との共同研究)
E
結晶塑性有限要素法および転位動力学を用いた数値シミュレーション(東大との共同研究)
F
電子顕微鏡その場観察法を用いた疲労き裂進展機構の微視的観察(労安研,神戸工試)
G
航空宇宙用先進複合材料の極低温特性に関する研究(JAXAとの共同研究)
研究分野によってグループが形成されるが,各自独立した1テーマの研究課題に取り組むこと
になる.連携大学院(宇宙航空研究開発機構:JAXA)の熊澤 寿客員准教授(航空宇宙用先進複
合材料の極低温特性に関する研究)を希望する学生は,小川研究室に所属して卒業研究の段階から,
熊澤先生のご指導を受けることができる.

材料強度学(小川)研究室は,連携大学院・宇
宙航空研究開発機構(JAXA)の熊澤研究室に進
学を希望している学生に対して,共同研究を実施
している(2名以内).すなわち,小川研究室の一

て熊澤先生の指導も受けて研究を遂行する.連
携大学院を希望しているものは,熊澤先生に電
子メールを送って予め見学および面接を受けるこ
と.また,卒業研究履修申込票に明示すること.
(4)研究成果
本研究室は,科学研究費や受託研究費等の外部資金によって最新の研究設備が導入されており,
研究環境は決して同一研究分野の他大学に劣らない.卒業研究や修士・博士課程の研究で得られ
た成果は,下記のように学術論文として公表されており,産業界の役に立っている.下線は学生
名を示している.材料強度の技術者・研究者として志を持つ学生とともに研究できることを望ん
でいる.他分野を志す学生にとっても,卒業研究で材料強度のセンスを身に付けておくことは必
ず役に立つ.
最近の研究論文( は小川研究室所属の大学院生, はJAXA所属の大学院生)
1. オーステナイト系ステンレス鋼の低サイクル疲労強度に及ぼす表面加工層の影響(蓮沼将太,
野呂亮太,麻生 俊,小川武史),日本機械学会論文集,日本機械学会,Vol. 82, No. 840
(2016-8), p.16-00183.
2. 中高強度鋼の疲労限度に及ぼす平均応力および応力集中の影響(中村眞実,土屋圭一郎,蓮
沼将太,小川武史),材料,日本材料学会, Vol.65, No.3 (2016-3),
pp.228-232.
3. 硬さ試験による炭素鋼の局所力学特性の推定と配管溶接部への適用(中島弘毅,齋藤裕樹,
蓮沼将太,小川武史),圧力技術,高圧力技術協会,Vol.54, No.1(2016-1),
pp.16-24.
学会賞受賞( は小川研究室所属の大学院生, は小笠原研究室所属の大学院生)
1. 2016年5月29日日本材料学会第65期 優秀講演発表賞 修士前期課程2年 宮井悠真
オーステナイト系ステンレス鋼の疲労亀裂進展特性に及ぼすボロン添加の影響
2.
2014年5月26日 日本複合材料学会 日本複合材料学会論文賞 配向カーボンナノチューブ
/エポキシ複合材料の力学特性 (小笠原俊夫,仲本兼悟,津田皓正,小川武史,文 淑英,島村佳
伸,井上 翼),日本複合材料学会誌 第39巻,第6号,pp.240-247 (2013))
3.
2013年8月23日公益社団法人 自動車技術会 技術部門貢献賞
技術会議疲労信頼性部門委員会
への活動 小川武史
研究室訪問 説明会(小川が説明):1/21(土)13:30〜
個別面談:可能な範囲で対応します
連携大学院進学希望者:熊澤先生にメール連絡(kumazawa.hisashi@jaxa.jp)+JAXA見学