TBABハイドレート
クラスレートハイドレートの基礎特性の解明
クラスレートハイドレートは、水分子が作るかご状構造にメタンや二酸化炭素を取り込んだ包摂化合物です。日本近海には「メタンハイドレート」と呼ばれる燃料資源が多く存在します。ハイドレートは燃料利用や、ガスを低コストで安全に圧縮・輸送する方法として注目されています。また、潜熱を多く含むものは蓄熱や熱輸送媒体にも利用可能です。私たちの研究室では、TBABハイドレートの核生成特性を研究し、他の物質の核生成因子解明も目指しています。TBABハイドレートは空のケージに二酸化炭素を取り込む特性があり、ガス分離技術への応用が期待されています。

TBABハイドレートの結晶構造
2-1.TBAB-CO2ハイドレート
相変化材料(PCM)は未利用熱の活用に用いられ、固体から液体への相転移時に大量のエネルギーを吸収・放出する特性から建物や空調システムで注目されています。CO₂ハイドレートは高い潜熱量を持つが、高圧での生成が課題です。一方、TBABハイドレートは低圧条件下でCO₂を取り込む特性を持ち、蓄熱媒体として期待されています。本研究では、TBAB-CO₂ハイドレートのCO₂取り込み量に初期圧力や水溶液濃度が与える影響を明らかにすることを目的としています。

TBABハイドレートの結晶構造

TBAB-CO2ハイドレートの結晶構造
2-2.結晶成長
従来の研究では、冷却面からTBAB水和物を冷却し,結晶成長の観察が行われてきました。しかし、結晶成長速度が近似解で求めた値と異なることが示唆され、TBAB水和物と水溶液界面の温度が相平衡温度とは異なると考えられます。本研究では、方向性凝固法を用いて、ミクロな視点で、TBAB水和物の結晶成長特性を解明することを目的としています。

実験装置

t=0

t=100s

t=200s