氷蓄熱とは何か?
青山学院大学岡田研究室が氷蓄熱の利点をご説明いたします。
目次
- 氷蓄熱とは?
- 氷蓄熱の目的
- 氷蓄熱システムを生成・使用する氷の性状による分類
- なぜいま氷蓄熱か?
- 従来の水蓄熱に対する氷蓄熱のメリット
- 氷蓄熱とは?
氷蓄熱システムとは、電力消費の少ない夜間電力を用いて製氷し、それを解かして冷房などに利用するものである。
- 氷蓄熱の目的
夏の冷房負荷による偏った電力需要を平準化することであり、電力プラントの抑制、空調設備の小型化が図れる。
- 氷蓄熱システムを生成・使用する氷の性状による分類
- 固体氷(ソリッドアイス)を用いるスタティック型
スタティック型とは熱交換器表面に接触している水を、熱交換器壁面を通して間接的に冷却し、
その表面に氷層として成長させるものである。これは同一の場所で製氷・解氷を繰り返すのでスタティック型と呼称される。
スタティック形の基本的特性として、伝熱面に氷が生成してくると氷の熱伝導率が低いため、氷自体が熱抵抗体となり、
運転の経過(着氷量の増加)とともに伝熱特性が悪化して、冷凍システムの運転効率が低下するという問題がある。
また、この方式は当然のことながら、氷生成のために蓄熱容器内に冷却用熱交換機を必要とするため、
蓄熱容器内が重装備となり、施工や設計上の制約(熱交換器の構造上、平面的な拡大配置は対応可能だが、
高さ方向には強度の確保や設備配置後の保守・管理といった運用面からの制約を受け、大容量化に課題がある)を生じる。
そのため、本形態のシステムはユニット型か中小規模の蓄熱設備に実施例が多い。
- 流動性をもつ結晶状の氷(リキッドアイス)を用いるダイナミック型
(固体氷を一度生成し、剥離して製氷するハ―ベストアイスのように、この中間に位置づけられるシステムもこれに含む)
ダイナミック型とは、例えば、受器内に結晶状氷を生成するため何らかの水溶液を介在させ、
水溶液中の水分のみを凍結させる方式(クリスタルリキッドアイスなど)や水槽外部の熱交換器で過冷却水を生成し、
生成した氷を蓄熱槽に貯える方式(過冷却水からの氷析出法)が主な形態である。
そのためこの方式ではFig.1-1-4のように常に氷が流動しておりダイナミック型と呼称される。
この方式では蓄熱容器と氷生成部が分離でき、システム設計上の自由度(配管部分で熱交換)が確保できる点が大きな特長である。
そしてスタティック型よりも氷に流動性があるために配管輸送が可能となる。
また、生成された氷を解氷する際に伝熱面積が大きくなるために負荷応答性が良くなるなどの利点がある。
しかし冷却面に氷が付着してしまうことがありIPF(製氷率)が低下し連続製氷が難しくなってしまうことがある。
ちなみに本研究室では、ダイナミック型について研究している。

Fig.1ダイナミック型の氷生成メカニズム
高砂のスーパーアイスシステムより
- なぜいま氷蓄熱か?
現在、Fig.2(平成3年夏季)のように電力消費のピークは夏の昼間に集中しており、
昼夜の電力消費の格差が大きくなっている。特に気温の高い日にはその格差が顕著である。
電力の安定供給のためにはピーク時(この年は5190kW)の電力を賄えるだけの発電設備が必要となる。
夜間等の低負荷運転の際にはエネルギ変換効率が悪く、変換時の損失が大きくなっている。
そこで、電力負荷平準化とピークカットの方法として蓄熱システムを用いることが提案されている。
この蓄熱システムとは、Fig.3に示すように電力消費の少ない夜間電力を用いて冷熱を蓄え、
その冷熱を電力消費の大きい昼間に利用するものである。これにより、一日の電力消費の平準化を図ることができ、
電力会社の設備等の負担を軽減するとともに、
消費者側も低料金の夜間電力を用いて蓄熱でき冷房設備の小型化することができるというメリットがある。

Fig.2電力負荷変動の例(東京電力管轄内)
TEPCOニュースより

Fig.3 昼夜の負荷パターン
TEPCOニュースより
- 従来の水蓄熱に対する氷蓄熱のメリット
大都市圏の都市機能の集中は地価の高騰を生じ、建物の高層化、高密度化を引き起こし、
蓄熱システムの導入を検討しても、従来の水蓄熱では建物負荷をまかなうだけの蓄熱槽容量の確保が困難である。
そのため蓄熱の高密度化が重要な課題となってきた。
様々な潜熱蓄熱材の中から物質的に安定で安価な水(氷)の潜熱(温度差が1℃の顕熱の約80倍)を利用する氷蓄熱が脚光を浴び始めた。
この潜熱の利用により、水に比べて5倍〜8倍もの高密度蓄熱特性が期待できることになる。

Fig.4 水蓄熱と氷蓄熱の比較
セキスイのアイスレージユニットより

Fig.5 氷蓄熱システム
「新日鉄のシャーベットアイスシステム」より
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