電子メールについては,既にセンター広報等で説明されていますが,要するにFAXの入力と出力がコンピュータに置き換えられていることと,料金が格段に安いということです.料金に関連することは後述するとして,入出力がコンピュータになることで何が違うかというと,手紙が紙のファイルに保存されるのではなく,フロッピィーディスクのファイルに保存されるのです.賢明な読者は,既に地球環境との関連にお気付きのことでしょう.すなわち,電子メールは手紙や書類等に使用されている紙の量を減らし,紙の製造の為に切り倒されてゆく樹木の量を減らし,それによって地球環境の重大な問題となっている炭酸ガスの増加を抑制することができるのです.もちろん,電子メールが地球環境に対して効果を持つようになるには,大幅な普及が必要です.例えば,学内の配布書類は全て電子メールで済ませるとか,教授会資料は予め電子メールで各メンバーに送られ,ノートパソコン持参で教授会,というようになれば,少しづつ効果が出てくるのではないでしょうか.最近では,書類のほとんどがワープロで作られていますので,比較的簡単に実現できるのかもしれません.
次に,料金に関連した経済的観点から考えてみましょう.御存知のように,FAXは電話回線を使って情報を送りますので,入口から出口まで完全に独立したルートを用います.一方,電子メールは計算機センターが郵便局になって送られるので,情報は入口から出口の間で他の情報と共有のルートを用います.これは丁度,マイカーを使った "Door to door" の移動と,公共交通機関を使った移動方法の関係に類似しています.つまり,FAXはマイカー,電子メールは公共交通機関に対応します.さて,賢明な読者は,再び電子メールが地球環境を救うことにお気付きのことでしょう.計算機センターの情報ネットワークは,バスや電車と同じように利用者が居なくても動いているので,これの利用を拡大するほど(マイカーの利用を控えるのと同じように),より効率的な情報の伝達が達成され,余分なエネルギーが節約されるのです.最近の都市の交通問題を考慮すれば,公共交通機関の利用を推進することが経済的に優れているのはあまりにも明白です.情報に関しても同じことがいえるでしょう.
このように電子メールが地球環境を守る有効な手段であることは明らかですが,現状を一言でいえば,「5年前のCD(コンパクトディスク)」といったところです.5年前には,発売されているCDの種類も少なく,レンタルCDなんて何処にも有りませんでした.つまり,利用者が少ない為に,必ずしも上手く機能していないのです.私自身,有効に利用できているのは,アメリカにいる数人の研究者との間に過ぎません.しかし,どうか目先の利用価値だけで判断しないで下さい.そして,一人でも多くの方が電子メールを始め,地球環境を守る活動に参加して下さることを希望します.